中小企業経営者の多くが抱える『売上不振』や『人材不足』。日々発生する問題への対応に追われ、本来考えるべき会社の未来について、じっくり時間を取れずにいませんか。『相談相手の不在』という状況も、その多忙さに拍車をかけているかもしれません。このまま対症療法を続けても、会社は本当に強くなるのでしょうか。
≪このブログで伝えたいこと≫
・多くの会社が陥る「忙しいだけで儲からない」悪循環の正体
・会社の持続的成長の土台となる「経営の体幹」という考え方
・自社の強みと弱みを客観視できる「3つのセルフ診断」
・明日からすぐに実践できる「体幹を鍛える小さなアクション」
目次
- なぜ、いつも目の前の課題に追われてしまうのか?
- 強い会社に共通する「経営の体幹」とは
- 3つのセルフ診断で、まずは“今の自社”を知る
- 明日からできる!「経営の体幹」を育てる小さな習慣
- もう一人で戦わない。外部の力を「テコ」に成長を加速させる
忙しいから 楽しいに。~ 未来が見える(だから)笑顔になれる ~
皆様の成長促進パートナー 中小企業診断士のまっちゃんです。
中小企業の現場を駆け回り、組織改革や事業承継などの課題解決をお手伝いしています。
改めて、みなさん、こんにちは。
さて、今回のテーマは、売上を取り上げました。目の前の売上、資金繰り、従業員の問題など、次から次へと押し寄せる課題に対応するだけで、一日が終わってしまう。そんな感覚をお持ちの方も多いのではないでしょうか。私も多くの中小企業の現場を拝見する中で、「もっと本質的なことに時間を使いたいのに」という経営者の皆様の心の声に触れてきました。
今回の経営ブログでは、そんな日々の忙しさから一歩抜け出し、会社の「芯」を強くして、持続的な成長軌道に乗せるための「考え方」と「実践のヒント」についてお伝えできたらと思います。
なぜ、いつも目の前の課題に追われてしまうのか?
「売上が落ちたから、急いでキャンペーンを打とう」「退職者が出たから、慌てて求人をかけよう」。こうした迅速な対応は、経営においてもちろん重要です。しかし、もしこのような「問題発生→対症療法」の繰り返しが常態化しているとしたら、少し立ち止まって考える必要があるかもしれません。例えば、穴の空いたバケツに必死で水を注ぎ続けているようなことだからです。
なぜ穴が空いたのか、どうすれば穴を塞げるのかを考えないと、バケツに水がたまることはないからです。きっと経営も同じですよね、表面的な問題に追われて対症療法のループに陥ると、経営者も従業員も疲弊し、会社の根本的な体力はどんどん失われていきます。このループから抜け出すためには、問題の根っこに目を向けて、会社の構造そのものを強くしていく視点が不可欠だと私は感じます。

強い会社に共通する「経営の体幹」とは
経済状況の変化、競合の出現、予期せぬトラブルなどなど、会社経営は荒波を進む航海によく例えられます。では、どんな嵐が来ても沈まず、力強く進んでいける船(会社)は、何が違うのでしょうか。多くの企業を見てきた中で共通点があるとしたら、それが経営の体幹がしっかりしていることのように感じます。人間が体幹を鍛えることで姿勢が安定し、力強い動きができるようになるのと同じです。会社の経営の体幹とは、具体的には次の3つの要素から成り立っているのではないでしょうか。
①ブレない「軸」としての経営理念・ビジョン
「何のためにこの事業を行うのか」という存在意義でしょうか。全ての意思決定の拠りどころです。
②しなやかな「筋肉」としての組織力・人材
理念に共感し、同じ目標に向かって自律的に動けるチームに備わっているものです。
③巡りのよい「血液」としての財務基盤・資金繰り
挑戦を支え、会社を存続させるための安定した財務です。
この3つがバランス良く備わっている会社は、目先の出来事に振り回されないですし、常に進むべき方向を見失わない強さを持っているように思います。

3つのセルフ診断で、まずは“今の自社”を知る
では、あなたの会社の「体幹」は、今どのような状態でしょうか。ぜひ、会社の健康診断をしてみてください。難しく考える必要はないです。次の3つの質問に、心の中で正直に答えてみてください。
【質問1】軸の診断
もし従業員に『私たちの会社は、社会やお客様にとってなぜ必要なの?』と聞かれたら、あなたは即座に、情熱をもって語ることができますか? そして、その想いは従業員に伝わっていると自信を持って言えますか?
【質問2】筋肉の診断
あなたの会社では、問題が起きた時に、部署や担当者の垣根を越えて『自分ごと』として協力し合う文化がありますか? それとも、『それは私の仕事じゃない』という空気が漂っていますか?
【質問3】血液の診断
あなたは、来月、3ヶ月後、半年後の会社のおカネの流れを、具体的におおよそ把握できていますか? それとも、月末になって経理担当者からの報告で初めて知る、という状況ですか?
これらの質問に、一つでも「うーん…」と詰まってしまうものがあったら、それが今、あなたの会社が重点的に鍛えるべき「体幹」の部分かもしれません。

明日からできる!「経営の体幹」を育てる小さな習慣
体幹トレーニングは、一日で効果が出るものではありませんが、日々の小さな習慣の積み重ねが、数ヶ月後、一年後には大きな差を生み出していきます。先ほどの診断を例に、明日からでも始められるアクションの例を考えてみました。
①「軸」を鍛えたいなら…
・週に一度、朝礼やミーティングの冒頭5分で、会社の理念や自分の想いを自分の言葉で語る時間を作る
・お客様からいただいた感謝の言葉を、全社で共有する仕組みを作る
②「筋肉」を鍛えたいなら…
・月に一度、部署横断の「ランチミーティング」を開催し、雑談の中から協力の芽を育てる
・誰かが行った「良い仕事(人助けや改善提案など)」を、賞賛し合う場を設ける
③「血液」を鍛えたいなら…
・まずはご自身で、超シンプルな「お金の出入り表」を手書きでも良いのでつけてみる
・税理士さんとの月次報告会に、ただ報告を受けるだけでなく、必ず一つ「未来の数字に関する質問」をする
大切なのは、完璧を目指すことではなく、まずは「やってみる」ことです。その小さな一歩が会社を変える大きな推進力になると私は信じています。

もう一人で戦わない。外部の力を「テコ」に成長を加速させる
ここまで、ご自身でできる体幹トレーニングについてお伝えさせていただきました。しかし、時には専門的な知識が必要だったり、自分一人ではどうしても客観的になれなかったりすることもあると思います。そんな時は、外部の力を上手に活用することも、経営者の重要なスキルです。それは税理士や社会保険労務士、あるいは我々のような経営コンサルタントかもしれません。大切なことは、「業者」として使うのではなく、会社の未来を共に考える「パートナー」として巻き込むことです。
そのためには、
①情報を隠さず共有する
良い情報だけでなく、悪い情報や課題も率直に話すことで、相手はより的確な判断ができます。
②「どうしたらいい?」と丸投げしない
「自分はこうしたいが、専門家の視点から見てどう思うか?」と、まず自分の考えを伝える姿勢が、相手の本気を引き出します。
③相手を尊重し、信頼する
パートナーも人間です。共に成長しようという姿勢が、良い関係を築き、結果的に会社の成長を加速させる「テコ」の役割を果たしてくれるはずです。

まとめです。売上をテーマに日々の課題に追われる経営から脱却し、変化に負けない強い会社をつくるための「経営の体幹」という考え方と鍛え方を取り上げました。
・対症療法ループから抜け出し、問題の「根っこ」に目を向ける
・会社の強さは「軸(理念)」「筋肉(組織)」「血液(財務)」という体幹で決まる
・まずはセルフ診断で、自社の現在地を知ることから始める
・完璧を目指さず、明日からできる「小さな習慣」を積み重ねる
・外部の力は、課題解決を丸投げするのではなく、「パートナー」として巻き込む
ご承知のとおり、経営の答えは誰か他の人が持っているわけではありません。その答えは、いつも経営者であるあなた自身の中にあります。この経営ブログが、皆様ご自身の会社の「体幹」について深く見つめ直し、明日からの行動を少しだけ変えてみる、そのための「問い」を立てるきっかけになれたら嬉しいです。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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