まっちゃんの経営ブログ

日本人がとりあえずビールを頼むのはなぜだろう?

「日本人はなぜ最初にビールを頼むの?」と台湾の友人からの質問。文化的な習慣や、すぐに提供される手軽さが理由かもしれないが、マーケティングの視点では、ビールが「 「乾杯」の象徴として準備し、集まりのスタートに選ばれやすいことも影響しているのかもしれません。この記事では、その理由をアジア諸国の事例とともに考えます。

こんにちは。
DSSで助手を務めている松山と申します。よろしくお願いいたします。

「日本人っていつも最初にビールを頼みますよね。なぜですか?」

日本語は堪能、日本文化も自分より詳しい台湾人の朋友からの質問。
東京新橋の立ち飲み屋さんで、最初の一杯を注文した時のことです。

「あー、えーっと…一杯目は喉越し重視だから?いや、スパークリングワインみたいに胃を開いて食欲をアップさせるん…だっけ?胃口大開?」

しどろもどろに説明しているうちにビールが到着したので、これ幸いと「乾杯!」。
朋友は納得していないような表情でグラスを傾けていました。

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角打ちで飲むお酒は最高です。長崎市内の森山酒店さんでは美味しい料理もいただけます…あれ?ということは立ち飲み屋さんですね

あらためて考えてみると、日本人ってなぜ最初にビールを頼むのでしょうか?
昔はビールに「シャンパンを最初に飲む※1」のと同じような意味もあったのでしょうけど、今はお酒に選択肢もありますし。習慣、癖?
そういえば居酒屋で「トリアエズナマ」って言葉を聞いた外国人が、ビールを日本語ではそう言うのだと思う逸話があったな。人気ラノベの異世界居酒屋「のぶ」でも出てきたし…。
確かにビールは早くサーブされるってイメージがありますね。飲み会文化のある日本では、一杯目の選択=ビールは重要で、我々の心に沁みついているのかもしれません。
だからお酒のスターターには、ビールが選ばれがちなのかな?

ここ数日、ビールが目の前に置かれると色々考えてしまいます。
…おっと、泡がなくなる。早く飲まなきゃ。

※1 祝福、幸あれの意味が込められる。お祝いの席などの一杯目で選ばれる。

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オリオンビールのラインナップも増えましたね。コクと苦みを期待して買いましたが、思ったよりあっさりしていました。南国の気候のせいかな? 

台湾で別の朋友と食事に行くと、「松山さん、まずはビールでしょ?」と慈愛あふれる微笑みを浮かべながら、するするっとオーダーしてくれます。慈愛というより、オマエの心は読み取れるんだぞという精神的マウントなのかな?彼はお酒飲まないのですが、ワタシ(酒飲み)の心はがっちり掴んでくれています。
いや、そういえば台湾で誰に会っても「飲み物はビールで良いよね?」って聞かれる気もするぞ。日本人だからビールではなくて、オレだからビールなのか?

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台湾に入国したらすぐに確保する18天ビール。火入れしないタイプなので長持ちしないフレッシュビールです。味は少しフルーティーで、実のところ台湾料理にはあまり合わない気がします

そもそも日本以外の国ではどうなのでしょう。
最初に頼むお酒って何?乾杯するアルコールは何が定番でしょうか?
知っている限りの話になりますが、アジアの国々のケースを考えてみます。

台湾でビール以外の一杯目を考えてみると、高粱酒(白酒)、紹興酒、少し変化球で小米酒(台湾原住民のどぶろく)あたりが挙げられます。南部だったら仕事現場で保力達B※2とか維士比※2で乾杯かもしれません。でも、熱炒(居酒屋)とかに行くと、やっぱり皆ビールで乾杯している気がします。ちょっとセクシーなユニフォームを着たビールガール(メーカーから派遣される販売促進係)もいますしね。鼻の下伸ばして勧められた銘柄の栓を抜いてもらいます。

※2 ハーブや漢方をアルコールに入れて作った養命酒みたいなお酒。

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台湾でハイネケン。ミニスカートを履いたお姉様に販促されたら断れない。もちろん一杯目は注いでくれます

韓国ですと、一杯目は焼酎かビールでしょうか?マッコリとかもありますが少しお値段高めですし、辛い料理に合うのは焼酎&ビールな気がします。両者とも割とすっきりした味のものが多いと思います。メジャーなCassやHiteビールも、バドワイザーに似ているような。焼酎の鏡月もさっぱり味です。
街角の屋台でも焼酎やビールをガンガン飲んでいるグループをよく見かけます。乾杯の掛け声でグラスを合わせている時、選ばれているお酒も焼酎とビールのような気がします(ソウル&釜山)。

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HiteMaxは麦芽100%のビール。韓国のビールの中ではコクがある部類かと 

中国はしばらく行っていないので近況はわかりませんが、北京や大連、上海、成都あたりの大都市ではビールか白酒(中国ウォッカ)がよく飲まれているなと思いました。ビールの銘柄は結構な種類がありましたが(クラフトビールの普及前でも)、青島や燕京、雪花あたりはどこでも見かけた記憶があります。ハイネケンも強かったような気もしますね(よく飲んだ)。
乾杯の時は、白酒が多いかな?寒い時期に行くことが多かったので、火鍋つつきながら40度オーバーの白酒をぐっとあおるっていうシーンをよく見かけたんです。今は違うんでしょうか?

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青島ビールは、ドイツの租借地だった時に製造が開始されたので、同国の醸造技術が使われているらしいです。ちょっと前にネットで炎上していましたが、コクがあって普通に美味しいと思います 

東南アジアになると、気候のせいか選ばれるのはビール。高い湿度と温度の中、飲みたくなるのは必然かと。それぞれの国にメジャーな銘柄がありますので、それらを飲むか外国資本のもの、カールスバーグとかハイネケン、バドワイザー、ギネスあたりが人気でしょうか。

国産銘柄で思い出すのはベトナムなら333、シンガポールならタイガー、マレーシアならアンカー、インドネシアならビンタン、どれもライトな味です。

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シンガポールは酒税のせいか、アルコール度数の低いビールでも日本より値段が高い気がします。 タイガーの味はあっさりしていて、微炭酸水のようにごくごく飲めます 

タイやラオスはシンハーやチャーン、ビアラオ、この2国のビールは結構コクがあって日本のビールの味に近い気がします。

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シンハーはタイ航空の機内でもいただけます。特別仕様のラッピングですね 

それぞれの国にもビール以外のお酒はありますが、皆が日常的に飲んでいるというイメージはありません。
インドネシアのアラックやタイのモンシャムとか…一杯目で選ばれているのも見たことがありません。やっぱりビールなんじゃないかな?マスタークラスの飲兵衛のことはわかりませんが…。

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ビアチャン(チャーン)は、シンハーよりコクがある感じで、好みのビールです 

いずれにせよ、アジアでのお酒のスターターはビールが多い、そして途中でお酒の種類を変えることは少ないと思います。「ビールは飲んだから次は白ワインを注文しよう」みたいな味変はせずに、ひたすら同じものを飲むって感じでしょうか(DSS調査より)。
日本(私)では、飲みの途中でお酒の種類を変えるのは割と普通のことなんですけどね。
この点は決定的に違うかな。

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突然飲みたくなるクリーミーな泡立ちが美味いギネスビール。マレーシアでも華人が住むエリアのレストランに行けば、手軽にお酒を楽しめます

 

ここで振り返ってみると、朋友の言葉には2つの疑問が込められていたのかもしれません。「なぜ最初にビールを頼むのか」と「なぜお酒を途中で変えるのか」という視点です。前者は数あるお酒の中で、最初の一杯にビールを選ぶ理由、後者は味変をする理由です。
ちょっと強引ですけどね。
「そんなのそうしたいからやろがいっ」といつも直球勝負の私の友人なら答えるかもしれませんが、少し考えるとビールやお酒のマーケティングにもつながるキーワードが埋まっている気もします。

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今まで飲んだビールで、一番あっさりしていたのはトンガのビールです。色を見ても想像できそうですが、とてもとてもライトな味でした

ここまでワチャワチャと考えましたが、朋友の質問の答えはなかなか導き出せません。結局「ビールが飲みたいから」というシンプルな理由に行きついてしまうのですが、それだと朋友が期待する回答にはならないですね。
しかし日本人ってビール好きですよね。ビールを連想するオノマトペだってたくさんありますし。グビグビッ、ゴキュゴキュ、プシュッ、カシュッ、キュー等々…いやこれはお酒全般に当てはまるかな?文字入力しているだけで飲みたくなってきました。
とりあえず電車の中刷り広告で見た、発売35年目を迎えてリニューアルした「キリン一番搾り」を試しながら、思考の海に潜ろうと思います。
朋友には近々会いますが、その時までになんとか答えを出したいですね。
飲みの席での話題ですから、質問したことも覚えていないかもしれませんが。

結局、答えはまとまりませんでした。すみません。
正しい答えは、飲み人それぞれにあるということで。
カシュッ。

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ゆるキャン△の聖地、なでちゃんのバイト先でビール。お姉ちゃんと海老天を頬張った席をねっちょり眺めながらグビる、これ至極の幸せなりけり 

こちらのサイト(note)からもご覧いただけます。

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