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中小企業診断士のまっちゃんです。
事業承継について話題にするたびに、経営者の皆さまから「いつ承継すればいいのか」「そもそも承継は必要なのか」という疑問をいただきます。特に50歳以上の経営者の皆さまにとって、このテーマは他人事ではありません。しかし、ここで立ち止まりたいのが、「事業承継を行うべきタイミングは本当に一律に決められるものなのか?」という問いです。
今回のブログでは、必ずしも年齢を理由に事業承継が必要ではない理由と、経営者が持つべき「謙虚さ」がもたらす経営判断の重要性について、考えてみたいと思います。
マーケティングの視点での考察を取り入れました。事業承継を経営の一手段として考えるヒントになれば幸いです。
マーケティング視点が示す現代の多様性
マーケティングの世界では「ライフスタイルマーケティング」という手法が注目されています。この手法は、消費者の生活シーンや価値観に基づいて提案を行い、売上拡大を図るもので、個々人の好みや嗜好の裏側にある価値観に重きをおいています。ネスレのバリスタを例に挙げると手軽に本格的なコーヒーを楽しみたいというニーズに応えることで、忙しい現代人のライフスタイルにフィットしていますよね。
従来のマーケティングでは、年齢や性別、家族構成といったデータに基づき、「65歳だからこの商品が適している」というような一律の提案が主流でした。しかし、現代社会では健康寿命の延びや個人の価値観の多様化により、このような画一的なアプローチは通用しなくなっています。たとえば、「65歳=高齢者」とされていた時代は終わりつつあります。例えば、65歳でも起業に挑戦したり、新しい趣味を積極的に楽しむ方が増え、年齢だけで行動パターンを決めつけることが難しくなりましたよね。
もう一つは、行動心理学のウィンザー効果です。第三者から伝えれる情報は信ぴょう性が高いように感じて信頼してしまう心理的効果のことです。皆さんも経験がないでしょうか。例えば、口コミやレビュー、インフルエンサーの紹介などが挙げられます。
事業承継は重要なテーマですが、した方がよいという情報が先行しすぎてしまい、深く考えずに行動に移してしまうとしたら、そっちの方が見過ごせないことのように感じます。
この視点を事業承継にも応用してみると、「社長が高齢だから事業承継が必要」といった固定観念は、必ずしもそうは言えないということが見えてきます。重要なことは年齢ではなく、経営者としての役割や会社の状況を見極める力ではないでしょうか。
謙虚さが経営を支える柱になる理由
ここで注目したいのが「謙虚さ」です。謙虚さとは、単に控えめでいることではありません。私は、経営者が自身の役割を正しく認識し、他者の意見や価値観を受け入れる姿勢(=謙虚さ)と捉えています。この謙虚さが、会社全体の士気を高め、持続可能な成長を遂げる原動力になっていきます。
尊敬する京セラ創業者、私塾『盛和塾』の塾長だった稲盛和夫さんは、「集団のベクトルを合わせ、良い雰囲気を保ちながら最も高い能率で職場を運営するためには、常にみんながいるから自分が存在できるという認識のもとに、謙虚な姿勢をもち続けることが大切だ」と話されています。稲盛和夫さんの謙虚さが経営再建に携わった日本航空(JAL)の再建でも、成果となって証明されたのは、周知の事実ではないでしょうか。
では、経営者が謙虚さを失うと、以下のようなことが考えられるのではないでしょうか。
(1)従業員の信頼を失う
高圧的な態度や「自分がいなければ会社は成り立たない」という過信は、従業員のモチベーションを下げ、離職率の上昇を招く
(2)後継者の成長機会を奪う
若い世代の意見や価値観に耳を傾けず、独断で経営を進めることで、後継者候補が育たない状況を生み出す
(3)環境の変化への対応力を失う
自分の成功体験に固執し、新しいビジネスモデルや市場トレンドを見過ごしてしまう
一方で、謙虚さを持つ経営者は、他者からの信頼を得やすく、周囲の力を借りながら適切な経営判断を下すことができるのではないでしょうか。皆さんの周りに、頭に浮かぶ経営者がおられるはずです。
事業承継を「目的」ではなく「手段」として考える
事業承継はあくまで経営の一つの手段であり、目的ではありません。重要なのことは、「何のために事業承継を行うのか」という問いを明確にすることのように感じています。
例えば、事業承継を検討する際に以下の点を確認なさってください。
(1)会社の現状と課題を正しく理解しているか
事業承継が必要かどうかを判断する前に、会社の収益構造や従業員の意識を十分に把握する
(2)承継後のビジョンを描けているか
事業承継を行った後、会社がどのような姿を目指すべきかを具体的にイメージする
(3)選択肢を広げて考えられているか
M&Aや外部からの経営者招聘など、多様な選択肢を検討することで、会社にとって最適な形を見つける。
これらを含む検討を行っていくために、具体的な手順や分析のためのツールを活用することも必要となっていきます。最近では、様々な経営課題の解決をお手伝いする公的な窓口も整備されています。専門家などを相談先として賢く利用していきたいですね。
謙虚さが未来を切り開く鍵
マーケティングの視点に基づくと、事業承継を年齢や一律のルールで判断するのは適切ではないように感じませんでしたか? そして、経営者自身が謙虚さを失わない限り、事業承継は決められたものと焦ることなく、計画的に行っていけるものだとも感じませんか。
経営者としての役割を全うする中で、適切なタイミングを見極め、事業承継を行うことで会社を次の成長ステージへと導くことが可能です。そのためにも、経営者自身が在り方を振り返り、周囲との信頼関係を築きながら柔軟な発想で未来を描いてくことが大切なのだと感じます。
今回は、事業承継を斜め後ろから考察しました。個々人によって、様々な考え方がありますので、ぜひ皆さんのお考えをフィードバックしてもらえたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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