『売上不振』や『人材不足』、そして『相談相手の不在』。こうした尽きない悩みを持つ中小企業経営者の方は本当に多いと日々の現場で感じています。会社の将来像を描きたいと願いつつも、目の前の業務に追われ、なかなか一歩を踏み出せないでいるのではないでしょうか。
今回の経営ブログでは、GROWモデルとWill-Must-Can(WMCモデル)を使い、漠然とした想いを具体的な行動計画へと落とし込むプロセスを解説していきます。
このブログを読むと、こんなことが分かります。
・GROWモデルとWMCモデルの基本的な考え方と使い方
・2つのモデルを組み合わせて、具体的な行動計画を作る方法
・中小企業の現場ですぐに活かせる、まっちゃん流の「問いかけ」と「ワーク」のヒント
・漠然とした目標を、実行可能な「小目標」へ分解するコツ
・経営の「迷い」を整理し、チームで未来へ向かうための一歩
目次
- 経営現場でよく聞く「経営の悩み」とは
- 未来から逆算するGROWモデルの活用
- 会社の「軸」を定めるWMCモデル
- GROW×WMCで実践する逆算型の行動計画
- チームで実践!「問いかけ」と「ワーク」のすすめ
- 振り返りの習慣が経営を変える
忙しいから 楽しいに。~ 未来が見える(だから)笑顔になれる ~
皆様の成長促進パートナー
中小企業診断士のまっちゃんです。
中小企業の現場を駆け回り、組織改革や事業承継などの課題解決をお手伝いしています。
経営現場でよく聞く「経営の悩み」とは
売上不振や人材不足、誰に相談すればいいのか分からない…。こうした悩みは、私が現場で経営者の皆様とお話しする中でよく耳にする声です。目の前の課題に追われ、会社の将来をじっくり描く余裕が持てないなど、そんな経験をされている方も多いのではないでしょうか。
経営の迷いを整理する上で、まず大切なのは「自分たちは、どこを目指すのか」を言葉にしてみることだと感じます。しかし、いきなり遠い目標を掲げても、なかなか実感が湧かないものですよね。そんな時に役立つのが、今回ご紹介するGROWモデルとWMCモデルという思考整理のツールです。

未来から逆算するGROWモデルの活用
GROWモデルはコーチングの鉄板のひとつです。「Goal(目標)」「Reality(現状)」「Options(選択肢)」「Will(意思・行動)」の4つのステップで、ありたい姿への道筋を描くフレームワークです。私が特に大事だと感じているのは、最初のGoal設定です。「5年後、10年後にどんな会社になっていたいか?」という、ワクワクするような未来をまず自由に描いてみること。これが全ての原動力になります。
よく山登りに例えるのですが、最初に山頂(Goal)の景色を思い描き、次に「今の自分たちは何合目にいるのか?(Reality)」と現在地を把握します。そうすると、「じゃあ、次の4合目に進むには、どんな準備やルート(Options)があるだろう?」と具体的な選択肢が見え、最初の一歩(Will)が踏み出しやすくなります。漠然とした夢を、現実と照らし合わせながら具体的な「小目標」に分解していくこと。これが日々の経営に計画を活かすための、とても大切なコツになります。

会社の「軸」を定めるWMCモデル
未来のゴールが見えたら、次はそのゴールに向かうための「会社の軸」を明確にしていきます。そこで使うのが、Will-Must-Can(WMC)モデルです。
Will(やりたい・ありたい姿)
経営者や社員の「こうありたい」という情熱や理想
Must(やるべきこと)
市場や顧客、社会から求められている役割やニーズ
Can(できること)
自社が持つ技術、人材、ネットワークなどの独自の強み
下の図のように3つの円の重なりが、会社が最も輝ける場所になります。考える順番ですが、私はまずWill、つまり「私たちは、本当はどうありたいんだっけ?」という純粋な想いを言葉にするところから始めることが多いです。しかし、市場の声を重視してMustから考え始めるのも有効なアプローチです。ご自身の会社にしっくりくる方法で試してみてください。
例えば町工場なら、「地域の産業を支えたい(Will)」という想いを抱き、「品質やスピードを求めるお客様の声(Must)」に応えるようと「小回りの利く対応力(Can)」を活かす。このように整理すると、自社らしい戦略の芯が見えてきます。

GROW×WMCで実践する逆算型の行動計画
GROWモデルで未来像と現在地を確認し、WMCモデルで「自社らしさ」を明確にする。この2つを組み合わせることで、行動計画が驚くほど実践的になります。
例えば、開業したてのエステサロンの例で考えてみたいと思います。
モデル例
(1)Goal
【5年後】地域で「あそこに行けば間違いない」と言われる口コミNo.1サロンになる!
(2)Reality
開業したてで、知名度はまだ低い(山の麓~1合目)
WMC分析
・Will 一人ひとりに寄り添い、心も体も癒せる場所にしたい
・Must 大手にはない安心感と相談しやすい雰囲気が求められている
・Can オーナーの丁寧なハンドマッサージ技術と温かい接客には自信がある
(3)Options
上記を踏まえ、次の1年間の小目標として…
①「初めてでも安心」体験コースを作る
②SNSでサロンの想いやお客様の声を丁寧に発信する
③リピーター様向けの特典を充実させる
(4)Will
まずは今月、①の体験コースのメニュー内容と価格を決め、来月から告知を始める
このように、大きなゴールから逆算し、WMCで方向性を定め、具体的なアクションに落とし込むことで、「今日、何をすべきか」が明確になります。

チームで実践!「問いかけ」と「ワーク」のすすめ
どんなに素晴らしい計画も、現場で働くみんなが「自分ごと」として捉えなければ、絵に描いた餅になってしまいます。そこでおススメなのが、定期的な「問いかけ」と「ワーク」です。
例えば、会議の冒頭10分でも良いので、付箋を使って
Will 「今、私たちが本当にやりたいことって何だろう?」
Must 「今、お客様から一番求められていることは何かな?」
Can 「最近、私たちが『できるようになった』ことって何?」
といった問いを、経営者だけでなく社員の皆さんと一緒に考える時間を作ってみてはいかがでしょうか。壁に貼り出した付箋を見ながら対話するだけで、普段は出てこないような本音やアイデアが生まれ、経営に一体感が生まれるのを、何度も目の当たりにしてきました。
振り返りの習慣が経営を変える
経営の現場では、どうしても日々の忙しさに流されてしまいがちです。しかし、そんな時だからこそ、GROWモデルやWMCモデルのようなフレームワークを使って、会社の目標(Goal)と現在地(Reality)、そして自分たちのWill-Must-Canを定期的に振り返る習慣が会社の成長の羅針盤になると感じています。
完璧な計画でなくても大丈夫!まずは小さな目標を立てて実際に動いてみることです。その積み重ねが、会社の未来を確実に変えていくと思っています。
ご感想やご意見など、フィードバックをいただけると励みになります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
皆様からのご助言、情報提供などは、こちらから

ote)からもご覧いただけます。
この記事へのコメントはありません。